皮膚筋炎関連自己抗体検出試薬の臨床的有用性の確認・多施設共同研究

実施責任者 桑名 正隆 准教授

1 研究の概要

皮膚筋炎は、筋肉・皮膚・肺を侵す全身の炎症性疾患で、国内における患者さんの割合は人口10万あたり約6人と推計されています。主な症状は、手足・体・のどの筋力の低下や痛みです。また間質性肺炎や悪性腫瘍を合併することがあり、重篤になる場合もあります。

皮膚筋炎の患者さんの血液中には「自己抗体」というたんぱく質がいくつか存在します。この自己抗体の一つに「抗CADM-140抗体」があり、皮膚筋炎のなかでも重篤な合併症である急速進行性間質性肺炎を高頻度に合併するタイプ(CADM)において高い頻度で認められることがわかっています。急速進行性間質性肺炎は、発症後すぐにステロイドと免疫抑制剤による強力な治療を行わなければならないため、抗CADM-140抗体が認められた患者さんにおいては、普段から肺の状態をよく観察しておく必要があります。また、抗CADM-140抗体以外にも、皮膚筋炎の患者さんにのみ認められる新しい自己抗体(抗Mi-2抗体、抗155/140抗体)が発見されており、それらの臨床的な有用性も同時に検討します。抗Mi-2抗体が認められる患者さんは、治療効果が高く、病気の進行が緩やかな場合が多いとされています。一方、抗155/140抗体が認められる患者さんは、悪性腫瘍を合併する場合が比較的多いとされているため、全身的な観察が必要になります。

これまで、抗CADM-140抗体をはじめとした自己抗体を簡単に測定できる検査薬はありませんでしたが、今回、新しい検査薬が開発されました。本研究では、この新しい検査薬の臨床的有用性を確認することを目的としています。そのためには皮膚筋炎あるいは皮膚筋炎に似た症状がみられる膠原病(多発性筋炎、関節リウマチ、全身性エリテマトーデス、全身性強皮症、混合性結合組織病、シェーグレン症候群)の患者さんの血液と診療情報が必要です。新しい検査薬の臨床的有用性が確認され、保険適応の検査薬として認められると、皮膚筋炎の診断がより確実になり、多くの患者さんに適切な治療を受けていただけるようになることが期待されます。なお、本研究は多施設共同研究で、研究本部は慶應義塾大学医学部リウマチ内科です。

2 研究目的

皮膚筋炎における関連自己抗体(抗CADM-140抗体、抗Mi-2抗体、抗155/140抗体)を検出する新しい試薬の臨床的有用性を確認することです。

3 研究方法・研究協力事項

本研究では、血液と診療情報(カルテ情報)を使用致します。血液に関しては、これまでに他の研究課題で同意を得て採血し、慶應義塾大学医学部リウマチ内科で保管している血液(血清)の中から0.3mLを使用致します。

保管してある血液は、年齢、性別以外はわからないように匿名化してから株式会社医学生物学研究所へ送られ、検査が行われます。この検査結果と診療情報を併せて集計、解析し、本検査薬が皮膚筋炎の診断や治療方針の決定に有用かどうかを調べます。

4 研究協力者にもたらされる利益および不利益

既に保管されている血液(血清)を用いますので、あなたへの身体的危険はありません。この研究の結果が直接あなたに有益な情報をもたらす可能性は低いと考えられますが、研究成果により皮膚筋炎関連自己抗体検出試薬が体外診断用医薬品として承認されれば、診断や治療方針決定などの点であなたを含めた膠原病の患者さんが恩恵を受けられる可能性があります。

5 個人情報の保護

あなたの血液と診療情報は、住所、氏名、生年月日、病院の診察券番号などを削り、代わりに新しく符号をつけ、どこの誰の血液かを分からないようにして慶應義塾大学医学部リウマチ内科で厳重に保管しています。血液や診療情報は共同研究先である株式会社医学生物学研究所に送付されますが、その際には匿名化された符号のみが付与され、個人名と血液および診療情報を結びつけられるような情報は一切送付いたしません。あなたと符号を結びつける対応表は慶應義塾大学医学部リウマチ内科において厳重に保管いています。匿名化したことにより、測定結果は測定を行う研究者にもあなたのものであると分からなくなります。測定結果はこの研究目的に限定して使用させていただきます。また、研究結果を含めた個人を特定する情報を第三者に公開することは一切いたしません。ご提供いただく血液と診断名などの情報は、氏名やカルテ番号など個人を特定できる情報を切り離した上で、測定・解析されます。

解析結果は臨床検査として承認を得るための資料として使用されるほか、専門の学会や学術雑誌に発表されることもありますが、あなたのプライバシーは十分に尊重されます。結果発表の際には慎重に配慮し、あなた個人に関する情報(氏名など)が外部に公表されることは一切ありません。

6 研究計画書等の開示

ご希望があれば、個人情報の保護や研究の独創性の確保に支障を来さない範囲で、この研究計画書の内容を見ることができますので、実施責任者または分担医師までご連絡下さい。その他、研究計画等についての資料をご覧になりたい場合には、資料を用意し説明いたしますので、同様にお申し出下さい。

7 協力者への結果の開示

開示希望のある協力者には、結果の解析が終了した時点で結果を開示する予定です。

8 研究から生じる知的財産権の帰属

この研究の結果が特許権等の知的財産を生み出す可能性がありますが、その場合の知的財産権は研究者もしくは所属する研究機関に帰属します。あなたには帰属しませんのでご了承下さい。