現在実施中の臨床試験

先進医療: 日本人関節リウマチ患者におけるヒドロキシクロロキンの有効性、安全性の検証

本試験の背景

関節リウマチ(RA)は全身に慢性破壊性関節炎をきたす疾患です。長期罹患による関節破壊、関節の変形は慢性の疼痛だけでなく日常生活に大きな支障を来します。適切な治療がなされない場合、発症2年以内に約70-90%で骨の破壊が始まるといわれており、早期の治療介入が重要です。

RA治療は、サイトカインや細胞表面分子を標的とした生物学的製剤が開発され、非常に高い有効性を発揮しますが、薬剤費が3割負担で月3-6万円程度と非常に高価であり、経済的理由から使用困難な状況も多く認められます。抗マラリア薬であるヒドロキシクロロキン(HCQ)は、欧米では1950年代から抗リウマチ薬のひとつとして汎用され、特にメトトレキサート、サラゾスルファピリジンとの3剤併用療法は、生物学的製剤に匹敵する高い治療効果が複数報告されています。HCQは日本を除くアジア,欧州、米国などの先進国では、RAおよび全身性エリテマトーデスに対して標準的治療として汎用され、長い使用経験の中で有効性,安全性が証明されている一方で,本邦では承認されていませんでした。近年全身性エリテマトーデスに関しては、関連学会と連携する研究会の要望でサノフィ株式会社が開発要請を受け臨床試験を実施、2015年7月に承認されましたが、RAに関しては現時点で治験が行われる予定がありません。

以上から、本邦におけるHCQの有効性・安全性を証明するため本試験を計画しました。本邦においてRAに対するHCQ投与試験は初であり、先進医療の枠組みで試験を行います。また、HCQは欧米においても古い薬剤であることから、その免疫修飾作用については不明な点が多く、TNFα, IL-1, IL-6など炎症性サイトカインの抑制や免疫担当細胞のアポトーシスの促進など限られた知見にとどまっています。そこで、探索的にHCQの作用機序を検討することも目的としています。

本試験概要

本試験は日本人RA患者におけるHCQの有効性、安全性を検証し、その作用機序について検討する国内第Ⅱ/Ⅲ相・単施設オープンラベル介入試験です。対象患者の現行治療にHCQを追加、 24週間の内服を行い、治療効果を当院に通院歴のあるRA患者のヒストリカルコントロールと比較検討します。比較検討の際は、年齢、性別、罹病期間、DAS28による疾患活動性、メトトレキサート使用の有無、使用した抗リウマチ薬の個数、血清反応等からロジスティック回帰により傾向スコアを算出、HCQ内服群とヒストリカルコントロール群のマッチングを行います。

対象

慶應義塾大学リウマチ内科通院または入院中の18歳以上のRA患者で、①予後不良因子ありメトトレキサートを3ヶ月以上、少なくとも4週以上同一用量で使用しているが非寛解(DAS28 ≥ 2.6)で圧痛、腫脹関節が1つずつ以上ある患者。もしくは②抗リウマチ薬2剤以上の使用歴があり、現治療薬を3ヶ月以上、少なくとも4週間以上同一用量で使用しているが非寛解(DAS28 ≥ 2.6)で、圧痛、腫脹関節が1つずつ以上ある患者が対象になります。生物学的製剤の使用中の方は対象になりませんが、過去使用歴があり現在中止、上記を満たす方は対象です。

実施施設

慶應義塾大学リウマチ内科

 

試験期間

患者組み入れ期間 2016年11月~2018年4月
観察終了     2019年6月予定




RA_HCQ