臨床研究

当研究室が中心となって取り組む臨床研究についてご紹介します。

SURPRISE STUDY (関節リウマチ)

MTX効果不十分かつ生物学的製剤未使用のRA患者233名を対象に、MTX併用でトシリズマブ (TCZ) 8mg/kgを導入するADD-ON群と、MTXを中止してTCZを導入するSWITCH群に割り付けたランダム化比較試験を行いました。主要評価項目である24週時DAS28寛解達成率は、70% vs 55% (p=0.02)でADD-ON群で有意に優れていました。52週時には両者の差は消失しましたが、関節破壊進行例はADD-ON群で少ない傾向が認められ、MTX効果不十分患者でもMTXを残してTCZを導入することが望ましいことが示されました。
(Kaneko Y. et al. Ann Rheum Dis. 2016 Nov;75(11):1917-1923.


成人スティル病に対するトシリズマブの医師主導治験

副腎皮質ステロイド治療で効果不十分な成人スティル病患者さんを対象に抗IL-6受容体抗体であるトシリズマブの有効性・安全性を確認する二重盲検ランダム化試験が当科を中心とした医師主導治験として行われました。

主要評価項目である4週時のACR50達成はトシリズマブ群で61.5%、プレセボ群で30.8% (p=0.24)でした。また12週でのsystemic feature scoreの変化は各々 -4.1 vs -2.3 (p=0.003)、12週時の副腎皮質ステロイドの減量率は各々 46.2% vs 21.0% (p=0.017)でした。エントリーした患者数が少なかった事もありACR50達成率に有意差は認めなかったものの、トシリズマブ群で有意なsystemic feature scoreの改善とグルココルチコイドの減量を認めました。
本研究結果を踏まえ、成人スティル病に対しトシリズマブが保険適用となりました。
(Kaneko Y et al. Ann Rheum Dis. 2018 Dec;77(12):1720-1729)


関節リウマチにおけるヒドロキシクロロキンの先進医療

ヒドロキシクロロキンは海外では1950年代から広く用いられる抗リウマチ薬で、他剤との併用で近年開発された生物学的製剤にも匹敵する効果を発揮することが知られています。海外では長い使用経験から治療効果、副作用ともよく知られていますが、日本では関節リウマチについては現在も承認がされておらず治験の予定もありません。本研究では先進医療の枠組みを用いることで、日本人関節リウマチ患者を対象としてヒドロキシクロロキン治療を行い、日本人における同剤の有効性、副作用の確認と作用のメカニズムを検討することを目的としています。


MIRACLE STUDY (関節リウマチ)

メトトレキサート未使用関節リウマチ患者におけるアダリムマブ追加投与時のメトトレキサート至適用量に関する検討(MIRACLE STUDY) は当科が中心となり国内12施設・韓国6施設・台湾6施設で実施している国際共同研究です。
関節リウマチに対する治療は、まずメトトレキサートを開始し、効果不十分な場合には生物学的製剤を追加する事が世界中で標準的です。しかし、生物学的製剤と併用するメトトレキサートの至適併用量については検討が十分ではありません。本試験は生物学的製剤であるアダリムマブを追加した際に併用するメトトレキサート量を2群に分け、24週後の疾患活動性の非劣勢を証明する事を主要評価項目としています。(NCT03505008)


その他臨床研究

当研究室では他にも以下のような研究に取り組んでいます。大学院入学1年目から臨床研究を開始しています。

  • 関節リウマチの疾患活動性評価におけるCDAIとDAS28の差異
  • difficult-to-treat RAの臨床的特徴
  • 高齢発症RAと若年発症RAの臨床的特徴の差異の検討
  • MTX併用ADA投与RA患者における治療維持期の最適投与法の確立(MASTER study)
  • 関節リウマチに対する生物学的製剤使用と非結核性抗酸菌症の発症、増悪リスク
  • 関節リウマチに併発する肺病変と生命予後
  • 関節エコーガイド下滑膜生検法の安全性と滑膜組織の検討
  • SLEと関節リウマチのオーバーラップ症候群の臨床特徴
  • ループス腎炎の寛解導入期におけるDeep Remission達成の意義
  • SLEの寛解導入療法開始後の低疾患活動性状態に関する検討
  • MCTDに伴う肺動脈性肺高血圧症の特徴と原疾患の予後推定
  • 筋炎関連間質性肺炎の再燃予測因子
  • 間質性肺炎合併皮膚筋炎におけるKL-6の役割の研究
  • 抗MDA5抗体陽性皮膚筋炎間質性肺炎におけるトファシチニブの有用性・安全性
  • ANCA関連血管炎の臨床的特徴
  • IgG4関連疾患におけるリンパ節病変の臨床的意義
  • IgG4関連疾患における縦隔線維症の特徴
  • 成人スティル病における初発症状の経時変化の研究
  • 成人スティル病におけるマクロファージ活性化症候群の臨床特徴
  • 膠原病患者に対する寛解導入療法中のCMV感染の臨床的特徴