既に組み入れが終了した臨床試験

医師主導型治験: 成人発症スティル病(ASD)に対するトシリズマブの有効性と安全性の検討を目的とした第Ⅲ相無作為化二重盲検試験

本治験の背景

成人発症スティル病(ASD) は、1年間の治療患者数は本邦において約1,100人と推計される希少疾患です。原因はいまだ不明で、症状として弛張熱、特徴的なサーモンピンク皮疹、関節炎、リンパ節腫脹、肝脾腫、臨床検査所見として急性期反応物質(CRP、ESR等)の上昇、白血球増多、肝機能検査異常、フェリチン上昇などが認められます。稀ですが、播種性血管内凝固症候群、二次性血球貪食症候群の合併や肝不全に至る劇症肝炎、急性呼吸窮迫症候群、多臓器不全への進展などで生命予後に影響することもあります。

現在のASDの治療は、希少疾患であることも影響し、検証的な検討は行われていません。第一選択薬はNSAIDですが、NSAIDのみでコントロールが可能なことは極めて稀で、通常副腎皮質ステロイド(CS)による治療が必要となります。CSによる治療は開始後ほとんどの患者では症状の改善が得られますが、減量中にCS再増量を必要とする再燃を繰りかえす症例、CS減量が困難な症例が多く認められます。その際、メトトレキサート、シクロスポリン、タクロリムスなどの免疫抑制剤が使用され、さらに免疫抑制剤による治療に抵抗を示す例では生物学的製剤による治療が試みられていますが、いずれも経験的な使用であり有効性が検証されてはおらず、また長期にわたるCS使用は、副作用の観点から重大な影響をおよぼします。

トシリズマブ(TCZ)は、小児における全身性若年性特発性関節炎(sJIA)で高い有効性が示され、適応が承認されており、現在では標準的な治療薬として位置づけられています。ASDとsJIAが完全に同一疾患と見做せるかについては明確な結論はありませんが、発症年齢の区分を除くと、急性発症、熱型、特徴的皮疹、関節炎、臨床検査所見などの臨床像は酷似しており、IL-6やIL-8などのサイトカンプロファイルについてもほぼ同様と考えられており、TCZのASDに対する有効性を示す報告が蓄積されつつあります。以上から、ASDを対照としたTCZの有効性・安全性を確立する目的で、医師主導型治験を計画しました。

本治験概要

本治験は、副腎皮質ステロイド使用中に一定の活動性を有するASD患者を対象に、トシリズマブの有効性と安全性及び薬物動態を検討することを目的とした、国内第Ⅲ相・単施設・プラセボ対照二重盲検無作為化並行群間比較試験です。対象患者をTCZ 8mg/kgまたはプラセボを2週間間隔で点滴静注する形で割付します。試験はダブルブラインド期間のPart1(4週間)、Part2(8週間)、およびオープン期間のPart3(40週間)で構成されます。Part3では全例が実薬投与となり、Part2において有効性が不十分の際にはPart3へのエスケープが可能です。

対象

山口の診断基準によってASDと診断され、CSをプレドニゾロン換算0.5mg/kg/日以上を2週間以上投与しても効果不十分であり、圧痛関節(68関節)、腫脹関節(66関節)がともに2以上、かつSFSがclinical 1ポイント以上、赤沈≧20mm/hrまたはCRP≧10mg/Lを示す患者が対象となります。

実施施設

慶應義塾大学リウマチ内科

試験期間

患者組み入れ期間 2014年1月~2016年1月
観33察終了     2017年1月予定

MOMCの概要図