既に組み入れが終了した臨床試験

臨床研究:メトトレキサート未使用関節リウマチ患者におけるアダリムマブ追加投与時のメトトレキサート至適用量に関する検討
〜MIRACLE STUDY〜

本試験の背景

関節リウマチ(RA)の治療では、診断後早期に治療を開始し、病気の活動性が無い状態(寛解)を目指す事で腫れや痛みの消失に加え、骨破壊、関節変形に伴う日常生活への支障が出現しない事を目指しています。
治療を新たに開始する場合には、メトトレキサート(商品名リウマトレックスなど、以下MTXと表記)を使用できる場合にはまずMTXで治療を開始し、3〜6ヶ月経過した時点で治療効果が不十分であれば生物学的製剤の使用を検討するというのが現在における標準的な関節リウマチ治療です。
生物学的製剤を使用する場合にもMTXを同時に使用した方が効果的である事が分かっていますが、どの程度の量のMTXを使用すべきかはまだ十分に分かっていません。

目的

本試験はRA患者において、MTX単剤治療で寛解を満たさない患者に対して生物学的製剤の1つであるアダリムマブ(商品名ヒュミラ、以下ADAと表記)を追加で使用した際のMTXの最適投与量を検討する事を目的にしています。
同時にMTXの体内濃度の指標となる赤血球中MTX-polyglutamates(MTX-PG)濃度を測定し、RA患者におけるMTX治療の有効性・安全性との関係を検討します。

対象

診断から2年以内でMTX、ヤヌスキナーゼ(JAK)阻害剤及び生物学的製剤などで治療をした事のない日本・韓国・台湾に居住する18歳以上のRA患者で、疾患活動性の指標であるSDAI>11を満たす方が対象です。合計300名の方にご参加いただく予定です。

試験治療

MTX 6~8mg/週から治療を開始し葉酸製剤10mg/週を併用します。
日本では速やかに16mg/週以下の最大耐用量まで段階的に増量し、最大耐用量にて維持します。
24週時にMTX 10mg/週以上を維持し、寛解(SDAI≦3.3)を達成している場合は引き続きMTXによる治療を継続します(ARM-1)。24週時にMTX 10mg/週以上を維持しているにもかかわらず寛解を満たさない場合、生物学的製剤として2週間ごとのADA 40mg皮下投与を開始します。ADAの皮下投与は48週まで行いますが、ADAを使用する際、MTX最大耐用量(10~16mg/週)を継続する方(ARM-2)とMTXを6~8mg/週に減量する方(ARM-3)にランダムに指定をさせていただきます。
これらの治療は標準的な治療であり、既に日本で承認されていますので、保険適応の範囲内で行います。

MIRACLEシェーマ

主要評価項目

48週時でのADA併用MTX最大耐用量継続群(ARM-2)とADA併用MTX減量群(ARM-3)でのSDAI寛解達成率

ご協力いただく事

上記の試験治療に記載の治療を行っていただく事に加え、採血時にMTX-PGなど研究用項目測定のための血液を追加でいただきます。また、個人が特定されない範囲内で臨床情報をいただきます。

実施施設(多施設共同国際臨床試験)

国内 慶應義塾大学病院 他 計10施設
韓国 6施設
台湾 6施設

試験期間

患者組み入れ期間 2018年3月~2020年2月(2年間)
観察終了     2021年2月予定

登録情報

慶應義塾臨床研究審査委員会 承認番号:N20170227-1
jRCT登録番号:jRCT1031180088
UMIN-CTR登録番号:UMIN000030584
ClinicalTrials.gov Identifier:NCT03505008
本試験はエーザイ株式会社との共同研究です
 

先進医療: 日本人関節リウマチ患者におけるヒドロキシクロロキンの有効性、安全性の検証

本試験の背景

関節リウマチ(RA)は全身に慢性破壊性関節炎をきたす疾患です。長期罹患による関節破壊、関節の変形は慢性の疼痛だけでなく日常生活に大きな支障を来します。適切な治療がなされない場合、発症2年以内に約70-90%で骨の破壊が始まるといわれており、早期の治療介入が重要です。

RA治療は、サイトカインや細胞表面分子を標的とした生物学的製剤が開発され、非常に高い有効性を発揮しますが、薬剤費が3割負担で月3-6万円程度と非常に高価であり、経済的理由から使用困難な状況も多く認められます。抗マラリア薬であるヒドロキシクロロキン(HCQ)は、欧米では1950年代から抗リウマチ薬のひとつとして汎用され、特にメトトレキサート、サラゾスルファピリジンとの3剤併用療法は、生物学的製剤に匹敵する高い治療効果が複数報告されています。HCQは日本を除くアジア,欧州、米国などの先進国では、RAおよび全身性エリテマトーデスに対して標準的治療として汎用され、長い使用経験の中で有効性,安全性が証明されている一方で,本邦では承認されていませんでした。近年全身性エリテマトーデスに関しては、関連学会と連携する研究会の要望でサノフィ株式会社が開発要請を受け臨床試験を実施、2015年7月に承認されましたが、RAに関しては現時点で治験が行われる予定がありません。

以上から、本邦におけるHCQの有効性・安全性を証明するため本試験を計画しました。本邦においてRAに対するHCQ投与試験は初であり、先進医療の枠組みで試験を行います。また、HCQは欧米においても古い薬剤であることから、その免疫修飾作用については不明な点が多く、TNFα, IL-1, IL-6など炎症性サイトカインの抑制や免疫担当細胞のアポトーシスの促進など限られた知見にとどまっています。そこで、探索的にHCQの作用機序を検討することも目的としています。

本試験概要

本試験は日本人RA患者におけるHCQの有効性、安全性を検証し、その作用機序について検討する国内第Ⅱ/Ⅲ相・単施設オープンラベル介入試験です。対象患者の現行治療にHCQを追加、 24週間の内服を行い、治療効果を当院に通院歴のあるRA患者のヒストリカルコントロールと比較検討します。比較検討の際は、年齢、性別、罹病期間、DAS28による疾患活動性、メトトレキサート使用の有無、使用した抗リウマチ薬の個数、血清反応等からロジスティック回帰により傾向スコアを算出、HCQ内服群とヒストリカルコントロール群のマッチングを行います。

対象

慶應義塾大学リウマチ内科通院または入院中の18歳以上のRA患者で、①予後不良因子ありメトトレキサートを3ヶ月以上、少なくとも4週以上同一用量で使用しているが非寛解(DAS28 ≥ 2.6)で圧痛、腫脹関節が1つずつ以上ある患者。もしくは②抗リウマチ薬2剤以上の使用歴があり、現治療薬を3ヶ月以上、少なくとも4週間以上同一用量で使用しているが非寛解(DAS28 ≥ 2.6)で、圧痛、腫脹関節が1つずつ以上ある患者が対象になります。生物学的製剤の使用中の方は対象になりませんが、過去使用歴があり現在中止、上記を満たす方は対象です。

実施施設

慶應義塾大学リウマチ・膠原病内科

試験期間

患者組み入れ期間 2016年11月~2018年12月
観察終了     2019年6月予定

RA_HCQ

医師主導型治験: 成人発症スティル病(ASD)に対する
トシリズマブの有効性と安全性の検討を目的とした
第Ⅲ相無作為化二重盲検試験

本治験の背景

成人発症スティル病(ASD) は、1年間の治療患者数は本邦において約1,100人と推計される希少疾患です。原因はいまだ不明で、症状として弛張熱、特徴的なサーモンピンク皮疹、関節炎、リンパ節腫脹、肝脾腫、臨床検査所見として急性期反応物質(CRP、ESR等)の上昇、白血球増多、肝機能検査異常、フェリチン上昇などが認められます。稀ですが、播種性血管内凝固症候群、二次性血球貪食症候群の合併や肝不全に至る劇症肝炎、急性呼吸窮迫症候群、多臓器不全への進展などで生命予後に影響することもあります。

現在のASDの治療は、希少疾患であることも影響し、検証的な検討は行われていません。第一選択薬はNSAIDですが、NSAIDのみでコントロールが可能なことは極めて稀で、通常副腎皮質ステロイド(CS)による治療が必要となります。CSによる治療は開始後ほとんどの患者では症状の改善が得られますが、減量中にCS再増量を必要とする再燃を繰りかえす症例、CS減量が困難な症例が多く認められます。その際、メトトレキサート、シクロスポリン、タクロリムスなどの免疫抑制剤が使用され、さらに免疫抑制剤による治療に抵抗を示す例では生物学的製剤による治療が試みられていますが、いずれも経験的な使用であり有効性が検証されてはおらず、また長期にわたるCS使用は、副作用の観点から重大な影響をおよぼします。

トシリズマブ(TCZ)は、小児における全身性若年性特発性関節炎(sJIA)で高い有効性が示され、適応が承認されており、現在では標準的な治療薬として位置づけられています。ASDとsJIAが完全に同一疾患と見做せるかについては明確な結論はありませんが、発症年齢の区分を除くと、急性発症、熱型、特徴的皮疹、関節炎、臨床検査所見などの臨床像は酷似しており、IL-6やIL-8などのサイトカンプロファイルについてもほぼ同様と考えられており、TCZのASDに対する有効性を示す報告が蓄積されつつあります。以上から、ASDを対照としたTCZの有効性・安全性を確立する目的で、医師主導型治験を計画しました。

本治験概要

本治験は、副腎皮質ステロイド使用中に一定の活動性を有するASD患者を対象に、トシリズマブの有効性と安全性及び薬物動態を検討することを目的とした、国内第Ⅲ相・単施設・プラセボ対照二重盲検無作為化並行群間比較試験です。対象患者をTCZ 8mg/kgまたはプラセボを2週間間隔で点滴静注する形で割付します。試験はダブルブラインド期間のPart1(4週間)、Part2(8週間)、およびオープン期間のPart3(40週間)で構成されます。Part3では全例が実薬投与となり、Part2において有効性が不十分の際にはPart3へのエスケープが可能です。

対象

山口の診断基準によってASDと診断され、CSをプレドニゾロン換算0.5mg/kg/日以上を2週間以上投与しても効果不十分であり、圧痛関節(68関節)、腫脹関節(66関節)がともに2以上、かつSFSがclinical 1ポイント以上、赤沈≧20mm/hrまたはCRP≧10mg/Lを示す患者が対象となります。

実施施設

慶應義塾大学リウマチ内科

試験期間

患者組み入れ期間 2014年1月~2016年1月
観察終了     2017年1月予定

MOMCの概要図