症状

Q.関節が痛いとリウマチでしょうか?

A.関節痛を伴う病気全てがリウマチとは限りません。

いわゆるリウマチとは正確には「関節リウマチ」という1つの病気を指しますが、関節や筋肉、骨といった運動器官の痛みを伴う病気を総称して「リウマチ性疾患」ともいいます。つまり、リウマチ性疾患の代表的な病気の一つが関節リウマチですが、関節に痛みを伴う病気はほかにも100種類以上あり、関節が痛いと全てが関節リウマチとはいえません。関節が痛いとき、どんなときに関節リウマチを疑ったらよいか、ほかにはどんな病気があるかをまとめました。

関節リウマチの疑いがある場合

  • 2ヶ所以上の関節の痛みや腫れがある
  • 手の関節(手指の第一関節を除く)に痛みや腫れがある
  • 左右対称に痛みや腫れがある
  • 朝のこわばりがある
  • 痛みや腫れが1ヶ月以上持続する
  • 関節の変形を伴う

関節痛を伴うほかの病気

  • 変形性関節症、外傷性関節炎、出血性関節炎、感染性関節炎、痛風、偽痛風、膠原病、反応性関節炎、神経性関節炎、リウマチ熱 など…

適切な診断のためには専門医による診察のほか、画像検査や血液・尿検査などを総合して判断をする必要があります。また、リウマチ性疾患のなかには早期診断、早期治療が重要な病気もあります。気になる症状があった場合は、早めに外来を受診してご相談ください。

ちなみに、われわれの診療科の“リウマチ・膠原病内科”という呼称は以前は“リウマチ内科”でした。「リウマチ性疾患」の“リウマチ”からきており、関節リウマチの他にも膠原病を代表とする様々な病気(運動器官の痛みを伴わない病気も含まれます)を診療していましたが、より分かりやすい診療科名に変更しました。

Q.レイノー現象ってなんですか?

A.レイノー現象とは、寒さや緊張などで手足の指の色調が発作的に変化する現象です。

典型的には、はじめは白くなりそのあと紫→赤へと変わり、数分から30分でもとの皮膚の色に戻ります。また、色の変化にしびれを伴うこともあります。冬場などの寒いときに手が全体的に白っぽく冷たくなるいわゆる「冷え」とは違って、色調が変化する部分とそうでない部分の境界がはっきりしており、色も白だけではなく赤や紫を経てもとに戻るのが特徴です。

レイノー現象を認めたときの約7割の方には基礎に病気はありませんが、残りの約3割の方は膠原病、動脈硬化性疾患、血液疾患、神経疾患などがあり、それに伴って起こることがわかっています。とくに、われわれが専門に扱っている膠原病のなかで強皮症や混合性結合組織病(MCTD)という病気では、ほぼ全員にレイノー現象がみられ、診断に有用な症状の一つです。ここに記したような症状があった場合は、早めに外来を受診してご相談ください。レイノー現象かどうかはっきりしない場合にはスマートフォンなどで写真を撮ってご相談下さい。

レイノー現象

Q.微熱が続いていますが膠原病でしょうか?

A.微熱にも様々な要因があるため、いちがいに膠原病であるとは判断できません。

微熱あるいは発熱とは、脳のなかの間脳と呼ばれる部分にある体温調節中枢が、何らかの原因で異常を起こし、体温が正常より高くなった状態を示しますが、そのメカニズムにはまだ不明な点が多くあります。平熱は35.5~37.0度の範囲ですが、個人差があり、また同じ人でもさまざまな要因(生理周期、運動、食事、気候など)で変動します。

医学的には37.5度以上を病的な発熱とし、それに満たない場合を便宜的に微熱と呼びます。38.3度以上の発熱が3週間以上続き、医療機関での精密検査を行っても原因の説明がつかない発熱を「不明熱」と定義し、さらなる原因の検索を進めます。

1997年の欧米での報告では不明熱の原因を統計学的に解析したところ、26%が感染症、12%が腫瘍(悪性・良性にかかわらず)、30%が診断未確定で、薬剤による発熱や詐熱・膠原病等を含むその他の原因が32%でした。
一方微熱の場合、きちんとした統計はありませんが、精査をしても原因を特定できないケースがしばしばあります。関節症状や発疹、体重減少など他の症状を伴う場合は早めに外来を受診してご相談ください。