当研究室員が参加した学会についてご紹介します。
欧州リウマチ学会(EULAR) 2023




2023年5月31日から6月3日にイタリアのミラノでEULAR 2023が開催されました。OnsiteとOnlineでの開催で、14,000人以上が参加しました。恐らくCOVID-19流行前に劣らず、会場は非常に活気が溢れておりました。
当科からは玉井先生の口頭発表、医学部4年生の学生さん3人のポスター発表を含む8演題を現地で発表しました。私は6月2日に「Comparison of the ACR/EULAR 2022 classification criteria and the EMEA algorithm in patients with ANCA-associated vasculitis 」としてポスター発表を行ないました。EMEAアルゴリズムと新基準の作成者であるDr. Wattsなどと直接会場で議論できるなど、現地開催ならではの貴重な体験ができました。
EULAR全体としては数々の新しい知見の共有や、sJIA/AOSD・PsA・SLEのマネージメント、大血管炎の画像検査に関してのrecommendationが発表されるなど多くのことが学べました。終了後もOn demandで年末まで400以上のSessionが配信されており、直接見れなかった演題がいつでも視聴可能でこれも非常に有意義です。来年のEULAR 2024 in Viennaも是非参加したいと思える学会になりました。
(今井)
日本リウマチ学会学術集会 2023

Photo. 「近未来のリウマチ医」で発表を行った9名の医学部学生さん


Photo. 「近未来のリウマチ医」最優秀演題賞を受賞した医学部4年生の蕪城友大君(左)
Photo. 国際ワークショップ優秀演題賞を受賞した玉井博也先生(右)
2023年4月24日-26日に福岡国際会議場にて第67回日本リウマチ学会学術集会が行われました。
「近未来のリウマチ医セッション」では当学医学部から9名の学生が堂々とした発表を行い、蕪城友大君(医学部4年)が最優秀演題賞を、田中祐樹君(医学部6年)、峯岸恵美君(医学部6年)、鈴木悠史君(医学部5年)、安本紗菜君(医学部5年)、頃安美玲君(医学部4年)、小島修一郎君(医学部4年)、葛西志保君(医学部4年)が優秀演題賞を受賞しました!
当科からは教授の金子祐子先生を始め、計29名の先生方が40演題以上の発表を行い、玉井博也先生が国際ワークショップ優秀演題賞を受賞しました。
今回の学会では欧州リウマチ学会のトップであるAnnamaria Iagnocco先生を始め世界のトップリーダーも参加し、生で講演を聴かせていただいたり、座長をしていただいたりと大変刺激となりました。 完全現地開催という事もあり多くの方が現地で学会に参加し、非常に活気のある会となりました。
日本内科学会ことはじめ 2023

Photo. 優秀演題賞を受賞した医学部6年生の佐野英子君
2023年4月15日に東京国際フォーラムで医学生・研修医・専攻医を対象とした日本内科学会ことはじめ2023東京が開催されました。本会は第120回日本内科学会総会・講演会に併せて行われ、内科学を志す者にとっての登竜門となっています。
リウマチ・膠原病内科からは佐野英子君(医学部6年生)が筆頭演者として「尿閉・下肢筋力低下を来し灰白質病変主体の脊髄炎で再燃したSLEの症例」を発表し優秀演題賞を受賞,指導に当たった今井悠気先生(97回)も優秀指導医賞を受賞しました!
ループス脊髄炎には対照的な白質病変と灰白質病変主体の病態が存在し,後者は急激な発症で不可逆的な対麻痺に高率で至るため、早期治療介入が重要です。
現地での聴講者も多く、活発な質疑応答が行われましたが,佐野君は研修医や専攻医に混じり、堂々と発表をやり遂げ、見事優秀演題賞を受賞しました!
日本リウマチ学会関東支部学術集会 2022

Photo. 初めての学会発表を見事成し遂げた医学部5年中村忠一郎君
2022年12月10日-11日に六本木アカデミーヒルズで第32回日本リウマチ学会関東支部会が行われました。
“次世代につなぐリウマチ学”というテーマで学生、研修医も含めた若手医師にも興味を持ってもらえるように様々な工夫がされた学会でした。
当科も学生・研修医セッションにて医学部5年の中村隆一郎君が“Trisomy8陽性骨髄異形成症候群に併発した治療抵抗性腸管ベーチェット病様疾患の1例”の発表を行いました。難しい症例でしたが、しっかりと勉強・理解し、学生の発表とは思えない堂々とした発表で、大変将来性を感じました。
また、当科からは金子祐子教授がディベートセッション(リウマチ性多発筋痛症: csDMARDs vs 生物学的製剤), ランチョンセミナー(バリシチニブの臨床的有用性を考える)、イブニングセミナー(関節リウマチ合併間質性肺疾患のマネジメント)、リウマチ学の仲間を増やそう、鈴木勝也准教授がスポンサードセミナー(TNFを再考する~関節リウマチの病態におけるTNFの役割と治療戦略~), 花岡洋成先生がHow to treat(SLE, ループス腎炎の治療)、近藤泰先生が関節エコーハンズオン、髙梨敏史がリウマチ学の仲間になろうセッション(当科の紹介)で登壇しました。
個人的には今回から始まったディベートやHow to treatセッションは聴衆者もQRコードでアンケートに参加しつつ、答えのないCQに対してエビデンスを踏まえた上でエキスパートの先生方の貴重な考え方、熱いディスカッションを拝聴することができ、非常に勉強になりました。久しぶりのface to faceの学会であり、英気を養うことができました。
(髙梨)
日本免疫学会 2022



2022年12月7日~9日に第51回日本免疫学会学術集会が熊本城ホールで開催されました。
当科からは吉本先生、石垣(筆者)、田中君(医学部生)、峯岸さん(医学部生)がポスター発表を行い、玉井先生がClinical Evening Seminar、鈴木准教授がClinical Seminarで発表を行いました。
2020年は完全オンライン、2021年はハイブリッド開催となっておりましたが、今年は原則現地参加であり現地での発表を行いました。
筆者は初の参加でした。ところ狭しとポスターが貼られている中、事前にチェックしたものを中心に見て回りましたが、ポスター以外にも現地会場には目を引くものが多くあり、1日では見きれませんでした。
自身の発表ポスター前に来て下さった方へ説明をさせていただいたところ、名刺を交換していただき、会の後もディスカッションを続ける事ができています。モチベーションも上がり、今後も実験を頑張ろうと思え、現地開催の良さを実感しました。来年度も楽しみにしております。
(石垣)
臨床リウマチ学会 2022
2022年10月29日から30日まで第37回日本臨床リウマチ学会が札幌で開催されました。慶應からは竹内勤名誉教授と、花岡が参加してまいりました。
北海道は寒い!と気合をいれて新千歳空港ユニクロ店でヒートテックを購入のうえ、現地に向かいましたが意外と暖かく過ごせました。
竹内先生は特別講演として関節リウマチの分子標的療法の軌跡と展望についてご講演なさり、ダイナミックに変化した治療の変遷について発表されました。
私は慢性腎臓病と関節リウマチとの関係や、SLEの治療戦略とべリムマブのポジショニングについて発表してきました。
北海道で開催されましたがたくさんの先生方が参加され、大変有意義なコミュニケーションがとれた会でした。北海道大学の友人に久しぶりに会えましたのも嬉しかったです!ヒートテックを着ていただけではない暖かさを感じながら東京に帰ってきました。これからも全国に発信できるような研究を展開できるよう頑張っていきたいと心を新たにしました!
(花岡)
日本臨床免疫学会 2022
2022年10月13日から15日まで第50回日本臨床免疫学会総会が開催されました。
総会長は慶應OBで東邦大学教授であられる亀田秀人先生が主催されました。本学会はハイブリッド開催で、久しぶりにたくさんの先生方と対面でディスカッションすることができました!当科から近藤泰先生、齋藤俊太郎先生、菊池潤先生と花岡がポスター発表しました。
近藤先生は近年医療環境をガラリと変えたCOVID-19に着目した研究であるmRNA-1273ワクチンとSARS-CoV-2中和抗体およびT細胞反応性の誘導について発表されました。医療従事者にとっても大変関心が高く、多くの質問がありました。
齋藤先生は同じIL-6受容体阻害薬であるトシリズマブとサリルマブのIL-6シグナル抑制強度を比較した研究を発表されました。この2つの薬剤の使い分けについて臨床の現場では多く議論されることがあり、その一つの回答が示されました。
また菊池先生はループス腎炎の治療後に検出感度以下までタンパク尿が減る「Deep remission」の意義について御発表され、未だ十分検証されていないループス腎炎の治療目標を議論する意義「深い」情報を提供してくださいました。実はこの「Deep remission」の考え方は最新のKDIGOガイドラインにも引用されており、今後の動向が注目されます。
そして最後に私はステロイド骨粗鬆症に対するデノスマブの有効性を規定する因子について発表しました。最近は骨や筋肉も健康な状態で維持するという考え方がリウマチ膠原病領域でも認識されつつあり、それを支持する研究結果が得られました。私たちシニアも若手と一緒にこれからも臨床研究を盛り上げていきます!
(花岡)
欧州リウマチ学会(EULAR) 2022




2022年6月1日より6月4日まで、デンマークのコペンハーゲンでEULAR2022が開催されました。今回も現地とオンラインのハイブリッド開催ではありましたが、COVID-19の流行も一段落し、会場はたくさんの人で賑わっていました。
歴史ある建造物に囲まれた美しいコペンハーゲンの街並みは、日々の喧騒(仕事)を忘れさせ、癒やしの一時をもたらしてくれました。現地会場はワクチン接種を条件にノーマクスでの参加が可能で、多くの人がマスクをせずにディスカッションをしている様子には衝撃を受けました。
初日は関節リウマチ、ANCA関連血管炎、脊椎関節炎の3領域に関しEULAR recommendation updateの報告があり、多くの聴衆が参加していました。特にANCA関連血管炎はavacopan等新たな薬剤の反映、ステロイド減量に関する推奨など変更点が多かったように思います。
私自身は
演題:Efficacy and safety of adalimumab with low and high dose-methotrexate in patients with rheumatoid arthritis with inadequate response to methotrexate: the randomised controlled MIRACLE study
をoral presentationさせていただき、アダリムマブ開始時のメトトレキサート減量で非減量と同等の効果を得られる一方、安全性は優れている旨報告しました。思っていたよりも大きな会場で久々の海外学会での発表という事もあり緊張しましたが、多くの先生方に激励していただき、なんとか発表を終える事ができました。
本学会には教授を始めposter tourに選ばれた先生、現地での2日半のキャピラロスコピー講習会に参加した先生、医師4年目の若手の先生など当科からも多くの先生が参加され、皆で大変充実した時を過ごす事ができました。
2019年のマドリッド以来3年ぶりに現地の熱気と文化に触れ、新たな視点でこれからも頑張って行こうと気持ちを新たにしました。
(玉井)
第66回日本リウマチ学会学術集会 2022

Photo. 感染対策を十分に行いながら、マスクをし、衝立越しに発表する演者
第66回日本リウマチ学会総会・学術集会が2022年4月25日~27日パシフィコ横浜で開催されました(オンデマンド配信2022年4月25日~5月31日)。
私は2019年度より毎年演題を発表させていただいているのですが、COVID-19パンデミックの影響により、現地で発表させていただくのは3回目にして初めての事でした。
International Concurrent Workshopで発表させていただきましたが、初の英語での発表・質疑応答で、発表前から緊張し発汗著明の10分間でした。発表後は座長の先生と直接お話させていただいたりと、短時間ではありましたが自身の発表以外の収穫も大きかったです。現地では会場の雰囲気を感じながらの発表で、リモート参加での画面を前に1人で話す発表とは大きく異なり、現地参加での発表の素晴らしさを感じる事ができました。
現地での開催を終え、この文章を記載している現在もオンデマンドの配信が続いており、現地で参加する事のできなかった発表も聴講する事ができます。
COVID-19パンデミックにより、久しく現地発表がない状態が続いていましたが、海外の学会ではすでに現地開催を中心としたこれまで通りの形式に戻りつつあるようです。今回の発表は現地発表・オンデマンド配信各々のメリット・デメリットを感じる機会となりました。
(石垣)